唖然として立ち尽くす僕に阿部先生が気付き、苦笑いを浮かべて頭をかきながら説明する。
「これはですね、空き時間にインターネットばかりしていると他の先生方の迷惑になるらしくて、この場所に専用の席を設けて頂いたわけです」
 え・・・先生って、授業が無くても夕方までは勤務中なのでは?

「ここから、防衛省のホームページをハッキングしたんですか?」
 思わず口から漏れた言葉に、阿部先生は一瞬目を見開いたが、直ぐに穏やかな表情に戻る。
「そうです。学校からアクセスしてはダメですね。直ぐに見付かってしまいますから。もし、本田君のお父さんに庇って頂かなければ、厳重注意では済みませんでした」

「本田君のお父さん・・・ですか?」
「息子が通う高校の先生だから、何とか穏便に済ませて下さい―――と、上の方に掛け合って下さったようです」


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