4時間目の途中、窓からグラウンドを見下ろしていた僕の目に、阿部先生の姿が写った。詳細は分からないが、どうやら警察に解放されたらしい。実害があったとは聞いていないし、愉快犯として厳重注意で済んだのかも知れない。

 いや、そんなことは僕に全く関心が無い出来事だ。僕にとって、今最も重大なことは、これだ。
 僕は机の上に立てた数学の教科書に隠れ、スマートフォンをタッチする。

 あの日以来停滞していた瀬戸 麻美のブログに、新しい記事がアップされたのだ。しかし、その記事は、まるで僕に対して警告するかのような始まりだった。


 こんちには。
 ブログがアップできなくて、本当にごめんなさい。
 と言うのも、一部の悪質な人にブログが荒らされ、今後の活動を考えていたためです。


 おいおい・・・
 ブログはコメント不可の設定になり、一方的に記事を掲載するだけとなった。それでも、彼女のブログがアップされるだけで嬉しい。


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