折角、瀬戸 麻美に会えたというのに、いきなり蹴り飛ばされ、罵られ、グーでパンチされ・・・
 帰宅する電車の中、流石に僕は項垂れた。あの様子ではすっかり危険人物扱いだ。イベントがあっても、もう二度と案内はもらえそうにない。たぶん、ブラックリスト入りだ。

 誰が捨てたのか、僕の足元に空のペットボトル転がっている。焦点が合わないままラベルを見詰め、僕は自問自答を始める。

 状況証拠は揃っている。本当は、僕が犯人なのではないのか?
 僕のせいで、また誰かに迷惑を掛けたのではないのか?
 また―――

 唐突に吐き気を催す。
 激しい頭痛が襲う。
 僕は頭を抱えて目を閉じる。
 小学3年生の時、僕が遊びでしたことが母を追い詰めた。
 そんなつもりではなかった。
 だけど、結果だけが真実で、僕の思いや考えなど関係がない。
 あの時のことを、僕は繰り返しているのではないのか?


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