「阿部先生」
僕の背後で、瀬戸さんの声がする。

「私のブログは、まだログイン状態になっています。私のブログはそのままで、見た人をチョイス2に感染させることは可能ですか?」
「はい。それは簡単にできますよ」
「では、今直ぐにやって下さい。
 それと本多君、浩平君を撮り続けて。それと、マイクはある?」

 瀬戸さんは、拓郎がカバンから取り出したマイクを持つと、撮影している実況中継のナレーションを始める。
「瀬戸 麻美です。
 臨時ニュースでもご存知の方も多いと思いますが、現在テロリスト集団により原子力発電所のコントロールが奪われようとしています。
 奪われようとしているだけで、まだ奪われた訳ではありません。
 彼が、普通の高校生の彼が、今目の前でテロリストと戦っています。
 これはフィクションではなく、事実です。この放送は、本当に実況中継なんです。


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