スマートフォンの着信音が、静まり返る室内に響く。
「はい、阿部です」
その着信音に、阿部先生が反応する。そしてスマートフォンを耳に当てたまま、自分のパソコンを操作している。いったい何だというのだろう。
「みなさん、これを見て下さい」
阿部先生が、パソコンの画面を僕たちの方に向ける。
「な・・・何だこれ?」
画面はニュース速報。しかも、臨時ニュースが掲載されている。
臨時ニュースの内容は、テロリストから日本政府に対する警告、要求、犯行予告。既に原子力発電所のコントロールを奪ったものとしての、犯行声明だ。
僕はその文章を読み終えると、直ぐに端末の前に座る。
数が足りないなら、僕がコピーすれば良い。1つでも多く、1%でも可能性がある限り、僕は下を向かない。
例えみんなが諦めても、最後の瞬間まで、僕は手を動かし続けるんだ。
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