恋と清涼感

そんな計画だったが…。

「おっと、危ないな。大丈夫かい?」

「えっ?」

私より体の大きい先輩はぶつかってきた私に吹き飛ばされることなく私を抱き留めた。

憧れの先輩の胸に顔を埋めて抱きしめられる。

予想外の幸せ過ぎる状況に私は次の作戦など考えられなかった。

「…えっ、あっ…」

ずっとこうしていたい…。

私の見ていた素敵な努力の汗を流す先輩の体が目の前にある。

こうしているとほら、先輩の汗の臭いがして…。

「…って、臭っ!?」

私は思いがけず先輩を突き放した。

鼻を刺す強烈な異臭に混乱した。
汗の臭いのようでありながらそれとは掛け離れた異臭を越えし異臭。

「えっ、腋臭(ワキガ)?」

憧れだった先輩は自分には耐え難き悪臭を放っていた。