** Sweet Vacation **

《時間軸は二人が結婚して4ヵ月後です》



「あ…ぢぃ…。早くこれ脱ぎたいよぉ、響さぁん。」


真夏の炎天下の中、あたしは長袖にジーンズで全身を覆い隠し、脱水症状寸前の状態でグッタリと、真っ白なパラソルの下の影にやっと涼を求めている。

誰が見てもこの格好はリゾートホテルのプライベートビーチには相応しくないと思うだろう。

一応海に来たんだから、この下は水着を着ているんだけど…。

「ダメ、まだあちこちに男がいるだろう?千茉莉の水着姿を見せられるかよ。」

水着姿を見せられないって…そんなこと言ってたらいつまでたっても海になんて入れないじゃない。それどころか…この調子でこの水着を見たら…すぐにお部屋へ強制送還?

男性の視線が集まらない様にと無理矢理着る事を強要された長袖とジーンズの下はカットの深い大人っぽいデザインの黒のビキニだ。

雑誌で色っぽい黒のビキニを見て『千茉莉に着せてみたいなぁ。』とか何とか言っていたから買ってみたのに…。

もしかしたら海に入ることなくお蔵入り?もしくは響さんの観賞用になっちゃうんじゃないかしら?

あ…なんだか後者の方が可能性が高い気がしてきた。


…それだけは避けたいなぁ。