異例な彼氏【短編】

「彩」

ぶっきらぼうに言い放つ私。

眉間に皺を寄せて、
私を不思議そうに見る男。


「私の名前よ」

「あぁ。そうか」

「そう。貴方は?」

「晃司」

「元の名前は?」

「………」

男は、溜め息をつく。

返事を催促する様に男を見つめる私。


「…純子だよ」

「へぇー、そうなんだぁ」

はしゃぐ私。

そして、
勝った気になる。



男は、
息を吐き捨てながら、
ソファーに寝転び、
煙草に火をつけて、
勢い良くふかした。



私は、
透かさず男に歩み寄る。

そして、
寝転ぶ男に覆い被さった。

仰向けに寝転ぶ男に
自分の体を
密着させる。


男は、
嫌がらなかった。



私は、
男の胸元で囁く。



「あんた、女は?」