「ハイ、シイナ。
ご機嫌いかが?」



お風呂上がりに

冷蔵庫からペットボトルの
水を出して飲んでいると、


あたしがお風呂に入ってる間に
仕事から帰ってきてた母が、
テレビ見ながら話しかけてきた。

発泡酒片手に
ほろ酔いかげんだ。




「あら、シイナ。
もう部屋に戻るの?
一緒に飲まない?」


「勉強」


「勉強ばっかしないで
早く彼氏の一人や二人
つくりなさいよ〜」


「興味ない。
受験勉強あるし」


今、恋なんてしてる
場合じゃないっての。



「…ふぅん。
つまんない子ね、シスター」



「シスターって呼ぶの
やめてって
いつも言ってるでしょ」



母の横を通り過ぎて、
あたしはさっさと部屋に戻った。




母はたまに皮肉まじりに
あたしのことを

「シスター」と呼ぶ。



理由は簡単。



あたしに、
まったく男っ気がないから。