一人裏庭のバラの前で、
制服のスカートのまま
座りこんでいた。



気づいたら、
サックスも聞こえなくなって、

あたりはすっかり
暗くなってた。


もう運動部の練習の声も
聞こえない。




電灯の明かりに照らされた
バラが神秘的でキレイだ。


痛いくらいロマンチックで、
途方もなく孤独な気分。





「佐野さん?」



あたしの名前を呼ぶ声に
反応して顔向けたら、


焦った顔のヒオカ先生が
小走りであたしに向かってきた。


「どうした?
もう8時過ぎてるよ」



電灯に白衣って映えるんだ。


ぼんやり
そんなこと考えながら、

あたしは
ゆっくり立ち上がった。


「先生は、どうしてここに?」



「仕事、一応
ひと段落ついたから、
切り上げて残りは
家でしようと思ったら、

ここのホース、
片づけてなかったことに
気づいて。

それより、どうした?
こんな時間まで」