「ヒオカ先生、見て見て」

バラの手入れが
一段落ついたのを見計らって
あたしはケータイを取り出した。


「…ミニバラ?」

ヒオカ先生は、
あたしが差し出したケータイを
興味深そうにのぞきこんだ。



「そう!昨日買ったんだ」


近所のホームセンターに寄ったとき、
偶然売ってるのを見つけた
ミニバラ。


まだ、かたくとじられた
小さなツボミがついてるだけの
手の平サイズの緑。



植物なんて育てたのは、
小学校のころの
朝顔以来だったけど、

思わず衝動買いしてしまった。



「ヒオカ先生の
このおっきなバラたちの
ミニチュア版って感じで
とってもかわいいでしょ♪」


ヒオカ先生に
見てもらおうと思って、
写真を撮ってきたんだ。



「そうだね、かわいい」


ヒオカ先生は、
自分のバラと、
あたしのケータイのバラを
交互に眺めて、
あたしに微笑んだ。


なぜか、ちょっと
ドキってした。



「ここに、ちっちゃい
ツボミがあるんだよ」