…え?


あたしが、たぶん今、
ハッとした顔をしたから
だと思うんだけど、


ヒオカ先生はバツが悪そうに
首をかいた。


「…いや、
よけいなことだったね。
ごめん」


あたしから視線をそらして
バラの手入れを再開する先生を

あたしは凝視した。



「ねぇ、先生。
あたしたち会ったことある?」



ヒオカ先生は、顔を
あたしにむけて言った。


「2回くらい…会ってるよ」



「え!!いつ?!どこで?!」


あたしはあまりに
びっくりして、
目を見開いた。


ヒオカ先生も
あたしを見ながら
答える。


「…千夏の部屋で」



「!!えー!!
先生、千夏姉の友だち?!」



うん、って返事した
ヒオカ先生の顔をガン見して
思い出そうとしたけど、

…無理だった。



あたしがあんまり
ガン見するもんだから、

ヒオカ先生は
困ったように
苦笑いした。


「もともと友だちだったのは
友吾なんだけどね。
千夏とはゼミが同じで…」