斜め後ろから声をかけられた。


雨と風の音で、
足音に気づかなかった。


その声は!

慌てて背筋を伸ばして振り返ると、

ヒオカ先生が、


「どうした、警報出てるよ」


水が跳ねるのも気にせず、
あたしの側に駆け寄ってきた。




「バラ…植え替えたばっかで、
大丈夫かなって思って…」



「それでわざわざ
警報出てる中を?!」


雨音でかき消されることなく
あたしの耳に届いた、
ヒオカ先生のあきれた声。

傷ついた。



「あたしも植え替えに
関わったんだもん。
心配だよ。

…っきゃっ…」


ちょうど強い風がふいて、
傘を支える手に力がこもる。



「ほら、バラより
佐野さんの方が危ないから。

バラは大丈夫。
心配なんてしなくていいよ」



ヒオカ先生は、
あたしを気づかうように
言ったけど。


反面、のけ者にされたような
物悲しさで
胸の奥が
痛みでチリチリ震えた。


そんなふうに言わないでよ。


大丈夫って言いながら、
自分だって今、
バラの様子心配で
見に来てんじゃん。


だったら一緒に
心配させてくれたって
いいじゃん。



「あたしにだって、
もっと、関わらせてよ!」