好きだと気づいたって、
だからどうだっていうの。


今のあたしに恋なんて、
どうにもなりやしないのに。



だけど、

あの二人が会ってる姿を見たときの、

鉛になったみたいに
ずしりとした不快な虚脱感は、

家に帰ってからも
あたしの中に
ゆるく持続して居座って、

勉強する気すら奪っていく。




会って、それからどうなったの?


気になって、
でもやっぱりどうにもできなくて、

ここから動くこともできなくて…


空虚になったり
痛んだりする胸の中を
持てあまして

何にもできないまま…



週があけて、
期末試験の順位が掲示された。



「…」


掲示板の前で、
あたしは若干失望して唇をかんだ。


順位が一つ、下がってる。



あのケアレスミスが響いたんだ…。

返ってきた答案用紙を思い出して、
がっかりした。



内容が大事なのであって、
順位にこだわってる訳じゃないけど、
この時期に下がるのは痛いわ。


取り返さなきゃ。



掲示板にはり出された現実を見て、
闘志を引き出そうとした。




ちょうど見える渡り廊下に
ヒオカ先生が歩いていた。