”ただ、愛されたかった…”

 7月の終わり頃、暑い季節だった。

 「瑠理ちゃん、オーナーが呼んでるよ」

 あゆみ先輩がそう言った。


 時期的にボーナスの話しかも?と思った。

 美容院のボーナスは、少し時期が遅い。

 瑠理は、初めて貰うボーナスが楽しみだった。


 なんか、話しの展開が違った…。

 無断欠勤の事を注意され、挙句の果てに、

 ボーナスもだそうか迷っていると…。


 突然、ボーナスの意味について

 質問された。


 「今までの頑張りのご褒美だと思います。」

 そんな言い方しかできなかった。


 それに対し、オーナーは、

 「今からの期待もある。無断欠勤の事で、期待が薄れた。」

 と、言う。

 だから、ボーナスを迷っていると…。


 瑠理は、思った。そんなに、無断欠勤が、怒れてるなら

 「どこに遊びに行ってたの?」なんて、笑いながら言うな!

 あの時、もっとちゃんと如かれよ!そう思った。

 こじつけだと、思った。



 オーナーは、話しを続けている…。そして、こうも言った。

 「信用というのは、積み立てるのは大変。でも崩れる時は、

 一度の過ちで崩れるんだ。」

 
 「積み立てるのが大変で、崩れるのが一瞬なら、

 信用なんて、最初からいらない。

 ボーナスもいらない。」

 一気にそう言った。


 なんか…卑怯だと思った…。

 オーナーの事、卑怯だと思って腹が立ったんだ。

 
 オーナーは、瑠理をじっと見ていた。


 瑠理は、もう止まらなかった。

 その場で決心をした。