”ただ、愛されたかった…”


 「沙織、静かに入ってきてね。

 見つかると、多分(絶対)やばい。」

 瑠理は、先生のスケジュールは、把握している。

 帰ってくるのは、この日は、多分夜中。

 半分は、賭け。

 もし、見つかったら、これを理由に、

 お店を、辞めようと、思っていた。

 ”別に、見つかったって構わない”

 喫茶店に、沙織を呼び、最近作れるようになった

 焼きうどん、サンドイッチ、ピラフを、

 ご馳走する為。

 
 「どう?美味しい?」

 「うん、美味しいよ。店開けるかもよ」

 と、沙織は、答える。

 「なんで、私、美容院に住み込みに来て、

 こんな事してるんだ?何か、変じゃない?」

 沙織と瑠理は、顔を見合わせて、笑った。


 でも、できなかった事が、できる様に

 なるのは、理由は関係なく、嬉しい。


 先生は、夜中遅い時間に、

 帰ってきた。(予想通り)


 もうしばらく、ここで、

 働かなくては、いけない…。