「ただいま!」

 瑠理は、久しぶりに実家に帰った。


 「おかえり……。」

 瑠理の母親が、瑠理をみつめる…。


 「…なおった…。」

 瑠理の”なおった”という言葉を聞き、


 「なおったんだ!本当になおったんだ……。」

 母親が、言った。



 どうして、そうなったか解らないが、

 瑠理と母親は、ランチを食べに出掛けた。



 「うちの娘、病気治ったの!治ったのよ!」

 そんな話しもしてないのに、すれ違う近所の人に、母親が、

 話しかける……。



 近所の人は、多分意味は、解ってないが、母親に合わせて、

 ”よかったね”と言う。


 何人もの人に母親は、そう言って話す…。



 瑠理は、恥ずかしいのと……母親が、気が変になってしまったのではないかと、

 心配だった…。

 …気が変になった訳ではなかった…。




 本当は、心配してたんだ………。

 本当に、不器用な人だ………。



 瑠理の不器用さは、母親に似たんだろう…。



 見たことがない母親の姿を、瑠理は、見た………。


 ”ジーンときた”