”ただ、愛されたかった…”


 
 「お願い、姉貴にしか頼めない!」

 弟からの電話だった。


 「仕事辞めたんだ、喫茶店やろうと思って…。

 それで、お店を借りるのに、保証人がいるんだ!」


 瑠理に弟が、頼んできた…。

 保証人なんて、そんな簡単に”いいよ”なんて言える話しではない。

 どうして、なんの相談もなく、いきなり保証人なんだろうと、

 思った。


 母親からも、頼んできた…。

 一緒に暮らすかもしれない母親は、保証人になれないらしい。


 「たった一人の弟じゃないの、なってあげなさい。」

 母親は、弟の喫茶店に大賛成らしい。

 ”やっぱり、お父さんの子供だ”なんて、手放しで喜んでいる。

 有頂天になってるから、瑠理の気持ちなど見えてはいない…。


  淋しかった…。



 その時の瑠理には、付き合っている人がいた。

 職場の先輩の紹介だった。

 雅之という男性で、瑠理より一つ上の27歳だった。