学から、電話がよくかかってくるようになっていた。

 「ねぇ、瑠理、やり直そうよ。」

 学は、よくそう言った。

 「…もう少し時間を、おきたい…」

 まだ、別れて、2ヶ月もたってない頃だった…。

 でも、本当は、やり直したい気持ちがあった…。

 ただ、素直に「うん」とは、すぐに言えなかった…。


 

 その日も、学から電話がかかってきた。

 
 「俺、入籍する。パパになるんだ。」

 学は、そう言った。


 「…誰と?……。」

 瑠理は、頭の中が、真っ白になった…。


 学の話しでは、子供が出来てしまったらしい…。

 それで、相手の両親にも、挨拶に行ったとの事…。

 明日、二人で住む新居に、引越しだそうだ…。


 
 「…そう、パパになるんだ。頑張ってね。」

 瑠理は、そう言って電話を切った。

 学を、責める事は、出来なかった…。

 もう、新しい命もできてるんだし…。

 惨めな気持ちだけ残った…。



 行き場のない感情があった…。