”ただ、愛されたかった…”

「瑠理、相談があるの。美樹ちゃんの事覚えてる?

 泰子おばさんの娘…」

 愛犬のチャチャをブラッシングしながら、瑠理の母親が聞いた。

 泰子おばさんとは、瑠理の母親の古くからの友人である。

 「うん、覚えてるよ。最近遊んでないけど、

 中学までは、よく一緒に遊んでたじゃん。美樹ちゃんが、どうかしたの?」


 「泰子おばさんから頼まれてね…実は美樹ちゃん、ついこの前

 男と駆け落ちしてね…。」


 「えっ!だって、美樹ちゃんまだ、17歳くらいだよね。

 相手の男は何歳なの?で、見つかったの?」

 瑠理は、驚いた。男と駆け落ちする様なタイプには、

 絶対見えない。

 それに、この前、由美の事があったばっかり…。


 「見つかったんだよ、すぐに…。ただね、泰子おばさん

 娘にどう接していいか判らなくなったんだって…。

 それで、しばらく預かってほしいって、頼まれちゃってね…。

 瑠理はどう思う?」



 母親の話だと、泰子おばさんの娘(美樹)が、1歳年上の

 18歳の男と駆け落ちした。

 すぐに、連れ戻されたが、娘との対応が、うまくいかない…。

 厳しく言い過ぎたら、また、駆け落ちされそうで怖い。

 少し落ち着くまで、娘を預かって欲しいと頼まれたらしい。