大切な人を亡くしても〜未来へ〜




 こんなに近くに、姿形の変わらないままの想太はいるのに……。



 そう、想太は今まで、一度も約束を破ったことなんてなかった。



 最後の最後まで、守ってくれたんだ。



 ざあざあと叩き付ける、雨音だけが、現実にいる確かな感覚だった。



 想太はアジサイを見つけると、微笑んだ。



 それにつられて、私も笑った。



「ありがとう」

 指輪をはめて、私は言った。



 すると、想太は大きくうなずいた。



「今まで、ありがとう」
 ずっと私に、優しくしてくれた想太に、伝えたかった言葉がやっと言えた。