大切な人を亡くしても〜未来へ〜

「これ渡してきてって、パパに言われたんだ」

 小さな手から私の手の平へと、水滴と共に光を放つパールの指輪がこぼれ落ちた。



 私は、心臓が止まりそうな位に驚いた。



 それは、事故で行方不明になっていた指輪だった。



 今日想太から、プレゼントされるはずだった物だ。



 私は大切に受け取ると、両手で強く握りしめた。



「どうして?」

 ただただ、困惑するばかりだった。



 黙って彼は、何かを訴えるかのような、強いまなざしで私を見つめていた。