まだアジサイを見つめ続けている彼を背に、ブランコに座った。
しばらくして、何気なく私は振り返った。
驚いた。
なんと、赤青紫の色とりどりのアジサイの花が満開に咲き誇っていた。
「すごい、咲いてる……」
目をこすりもう一度見つめたが、確かにそれは夢でも幻でもなく現実のようだ。
毎年想太と二人で、この花が咲くのを待ち望んでいた。
見せてあげたかった。
「うん、見てみたかったから…綺麗だね」
満面の笑みで、アジサイに触れて言った。
「見てみたいからって、そんなの魔術師とか超能力者じゃあるまいし。どうして?」
私は責めるかのように、彼に問いかけた。
しかし彼はその問いには答えず、ブランコを勢い良く、高くこいでいた。



