「おねえちゃん、遊ぼう」

 甲高い男の子の声がして、驚いて目を見開いた。



 一重の大きな瞳は、真っ直ぐ澄んだまなざしで私を見つめていた。



 きっと年齢は四、五歳ぐらいだと思う。



 透き通るような白い肌で、癖毛がふわふわと揺れていた。



「ママは?」

 そう、私は笑顔で問いかけた。



 しかしその子はただ困って、口元を硬く結ぶだけだった。



 辺りを見渡したが、その子の母親らしい人物の姿はなく、さっきまでいた数人の親子連れも、カップルもいつの間にかいなくなっていて、私とその子だけになっていた。