ふぅ、助かった。
そういえば、この人どっかで見たことあるような気が…

「おい、大丈夫か…っ!??」

急に敬人って人の顔がこわばった。

この人、本当にどこかで見たような気が…
なんか、懐かしい…

「麻、衣??!」

突然名前を呼ばれびっくりした。

「はい、そうですけど…」

私がそういうと、その人の瞳から頬に向かって滴がいくつもつたいはじめた。

「あの…」
「…よかった」
「えっ…?」

なに、急に??

「本当に、無事でよかった…ずっと探してた。もう、だめかもって思ってた。」

そういうと、私を強く抱きしめた。
…この腕、知ってる。
なんでだろう。

「あの…」
「麻衣っ!!」

後ろから声がした。

「麻衣、説明書忘れて…っ!?」

ひろ兄が急に立ち止った、と同時に腕から解放された。

「ひろ兄、ありがと」
「あ、あぁ」
「ひろ兄ぃ!?お前が!!」

敬人という人が叫んだ。

何だろう、この人。
さっきから、私たちのこと知ってるみたい。

「…敬人さん、何でここに?」

ひろ兄が冷静に話しだす。

「なんでって、俺も帰ってきたんだよ」

…?
帰ってきた?どういうこと?

それから少し二人は話をして、敬人さんは帰って行った。

そして急にひろ兄が言った。
「…学校は?遅刻するよ?」

時計を見た。
現在8時25分。

「ヤバい、あと35分で始まっちゃう!!」

私はひろ兄にお礼を言って走り出した。