全く私の意見を聞く気がないらしい。

娘の意見くらいちゃんと聞こうよ、この人は。

「見合いは来週の日曜日の午前10時から!

『エンペラーホテル』のロビーにて!

写真はゆうパックで送ったから、明日の夕方には届くはずや!

心配せんでええ!

相手はとてもええ人やけ、な!」

まくしたてるように言う母親に、私は圧倒されるしか他がない。

そのうえ意見も言わしてもらえない…。

「んじゃ、後は頑張りや!」

そう言って、ガチャンと電話が切れてしまった。

すぐに流れた無機質な機械音に、私はため息をつきながら受話器を置いたのだった。