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できることなら、ずっと休みたかった。

そうすれば、彼らの顔を見なくていいからだ。

その時からだったかな?

私が現実から逃げるようになったのは。

小学生の頃からずっと愛読してきたロマンチックな恋愛小説ばかりを読んでいた。

妹に似合わないなんて苦笑いをされても、読んでいたっけ。

私もこんな恋がしたい。

王子様みたいな人が私の目の前に現れて欲しい。

そんな妄想をふくらませながら、恋愛小説を読んでいた。

彼ら――と言うよりも、現実から目をそらし始めた。

本屋でもらったブックカバーで表紙を隠して、休み時間の時に教室で1人で読むことが当たり前になった。