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――もったいないくらいにキレイな顔をしているのに

あの人の言葉が、頭の中で浮かんだ。

あの時私は怒りに任せて、つい過去の恋愛話を持ち出してしまった。

あの人は同情もしなければ、慰めもしなかった。

ただ優しい目で私を見て、私に触れてきただけだった。

あの人の言葉には、ウソ偽りは見えなかった。

下心も見えなかった。

思い出しそうになった出来事を、慌ててかき消した。

王様のあの人には、もうお姫様がいるんだってば!

あきらめたはずなのに、未練がましい自分に呆れた。

「けど、俺よりも下なのは変わらないか」

そう思っていたら、姫島北斗が言った。