1107

彼に促され、私も椅子に腰を下ろした。

「ここの会社に勤めてたんだ」

姫島北斗が言ったので、
「はい」

私は返事をした。

赴任して早々、私に何の話をしようって言うのよ。

私からして見れば、拷問にしか感じられないんだけど。

「入社何年目?」

そう聞いてきた姫島北斗に、
「大学卒業してから入ったので、今年で7年目です」

私は答えた。

「えっ、ウソ!?」

姫島北斗が驚いたと言うように目を丸くした。

何かすっごくムカついたんですけど。

どうせ私はおばさんですよ。

29歳と言ったら、世間ではおばさんの部類に入るんでしょうね。