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「なっちゃん」

ニコニコと笑いながら、姫島北斗は私に手招きをしてきた。

そんな彼をあしらうことができなくて、私は歩み寄ることしかできなかった。

ううっ、視線が痛い…。

何にも悪いことをしていないのに、どう言うことなの?

女子社員たちの視線を背中で受けながら、姫島北斗と一緒に会議室へ向かった。

何だか、生け贄に選ばれてしまった気分だ。

はあ、嫌だな…。

逃げれるものなら、逃げたい…。

「座って」

その声に顔をあげると、姫島北斗はすでに椅子に座っていた。

わっ、モデルさんみたい…。

椅子に座ってスーツ姿で長い足を組んでいるその姿は、まさにモデルだ。