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こんなにも夢であって欲しいと思ったことは、今日の他にないだろう。

「ウソだ…」

ニコニコと笑いながら手を振るその顔はまさに、姫島北斗そのものだった。

コンタクトのレンズがあわなくなったのかしら?

だから…何て思っていても、これが現実である。

「何だ、2人とも知り合いか?」

主任が私と姫島北斗の顔を見比べてきた。

そのとたん、女子社員のキツい視線が私に集中した。

ちょっと、私は何にもしていませんけど!

と言うか、彼女たちからの視線が痛過ぎる…。

若気の至りって、すごいね。

意味が違うような気もするけど。

必死で現実逃避を試みる私は、パニックになっているとしか言いようがない。

実際、パニックになっているんだけど。