「私は、桃井那智」

その日の夜、俺は彼女と出会った。


行きつけの隠れ家的な居酒屋で1人飲んでいた時だった。

「あっれー?

お兄さん、初めて見る顔だねー?」

俺に声をかけてきたのは、ほろ酔い状態の彼女だった。

初めて…。

そう言えば、彼女の顔を見るのは初めてだった。

ここの常連のはずなのに、今までどうして彼女に会わなかったのだろう?

そう思いながら、俺は彼女と一緒に飲むことになった。