「あ、もしもし堺正彦さんですよね?」 「そうだが?」 「故買屋をしている優子です。どうもお久しぶりです」 「優子……?知らないが…ひょっとして前田さんの?」 前田なんて全く知らないが話を合わしておく、勝手に個人情報をしゃべるなんて本当に詐欺師? 「そうです、前田の妻です。夫が寝込んでしまいまして……私が代わりにお電話差し上げました」 「そうかそうか、前田もよわっちいな」 「このたびは銀行の口座番号付きの個人情報を堺さんが欲しがっていると聞いたんで電話しました」