「翔太は考えすぎだって…」 微笑みながら廉が言う。 「あの女の子さ、俺の名前を知ってたんだよな。」 絶対おかしい。俺はカップに入っているコーヒーに映る自分の顔を見つめながら呟く。 「俺を助けた時も、お前はそんなこと思ってたのかよ。」 「は??助けたって??」 おれ……廉を助けたのか。思い出せない。 「大学入試で俺、翔太の席の隣でさ、俺バカだから消しゴム忘れたやん、したらおまえ貸してくれたじゃん。」 思い出せないぞ。 「………んだっけ??」