「ここよ。」

遥さんが指差した先は

ちっちゃい古びた喫茶店。

「此処、ですか?」

と、聞く私に

「そうよ。此処にね、凄く美味しいコーヒー豆がたくさん売っているの。此処のマスターとは、友達だから私はいつもコーヒー豆はここで買うのよ。」


本当は、一人でも来られたんだけど、マスターに美羽ちゃんの事を紹介しようと思ってね。
ごめんね?迷惑だったかしら?

と、言う遥さんに

私は首を横に振った。

「いえ!こーゆー所に喫茶店があるなんて知らなかったから、新しい発見が出来ました!それに……遥さんのお友達なら、私も仲良くなりたいですから。」

と、言う私の手を

遥さんは、ギュッと握った。

「美羽ちゃん!!」

「は……はい!!」

な、何だろう?
真剣な瞳。
吸い込まれる……

遥さんの顔がだんだん近くなって

もしかして!?
キス……されちゃう!?

嘘、まだ心の準備がっ。

でも……でも……!

覚悟を決め、ギュッと目を閉じる私に、遥さんは

「マスターには気を付けるのよ!!」

と、一言。


へっ?

それ、だけ?

なんか、変に期待しちゃって、目を閉じた自分が恥ずかしい……