トモくんとチハルちゃん




まぁくんが帰ってから、玄関で靴を揃えていると、急にトモくんが抱きついてきた。



「わ、わ。どうしたの?」


「今日はありがとね。すごい助かった。」


「うん、私こそありがとう。楽しかったね〜。」


「でも、びっくりしたなぁ。」


「え?なにが?」


「チハルちゃん、本当のお母さんみたいだったからさ。ちょっと妄想しちゃったよ。」



すごく照れた様子で、ギューっと抱きついてくるトモくんを撫でて、ぺたりと床に座った。



「チハルちゃん、チューしよ。」


「え、急にどうしちゃったの?」


「朝からお預けだったじゃん。将樹いたから出来なかったし。」



口を尖らせながら、大げさにしょんぼりするトモくんは、まるで子犬みたいで思わず頬が緩んだ。



「フフ、いいよ。」


「…なんか今日、止まりそうにないかも。」


「え?ちょっ…、んっ…。」



ガオー、と言わんばかりの勢いのトモくんと、ウサギのようなチハルちゃんの夜は更けていくのでした。