「そ、そんな〜馬鹿な」

ジャックを形どっていたものが、崩れていく。

「俺は…まだ…」

口が崩れていく。

「満足して…いない」

目が、離れていく。

「復讐…も」

目玉が砂になり、脳も砂に戻った。

数秒後…砂の山が廊下中に、できていた。





「な、何だ…。あの力は」

茉莉とのぶつかりで、ふっ飛んだ光一は、突き破った壁を破壊して、部屋に戻った。

「俺は、あの女を従える為につくられたはず。すべての能力で、上に立つはずだ」

ダメージは受けていなかったが、逃がしたことに、光一は顔をしかめた瞬間、視界にあるものが入ってきた。

「うん?」

四方の壁がなくなり、何とか柱だけで存在できている部屋の真ん中に、アルテミアが立っていた。

「まだ残っていたのか?」

光一はフッと笑うと、アルテミアに向かってゆっくりと近付きながら、命じた。

「あの女を追え!いや、その前に…」

光一は、にやりと笑った。

「俺の靴を舐めろ」

そう言った次の瞬間、アルテミアの蹴りが、光一に突き刺さっていた。

後方に、背中から倒れた光一は、立ち上がると、アルテミアを睨んだ。

「何をする!ご主人様である俺に対して?」

その言葉を聞いたアルテミアの眉間に、血管が浮かんだ。

「ご主人様?」

ゆっくりと顔を向けたアルテミアの表情を見て、光一は戦慄を覚えた。

それは、今まで何百体とつくったアルテミアが、見せたことのない顔だった。

「誰に、そんなことを言ってやがる!」

アルテミアは、怒りを露にした。

「き、貴様!」

光一は、両手をアルテミアに向けた。

「失敗品だな?」

すると、手の先が赤く光り出した。

「消えろ!」

光一は、光の玉を放とうとした。

「むかつく!」

アルテミアは、光一を睨み付け、

「あいつの顔で、言われると特にな」

拳を思い切り血が出る程、握り締めた。

「消えろ!」

光一の手から、凄まじい力を秘めた光球が放たれた。