「断る!」

俺は、それだけ言うと、屋敷内にテレポートした。

「おやおや」

光一は両手を下ろすと、

「無理矢理は、不本意だが…仕方ない」

屋敷を見上げた。

「イブ…。君が、バンパイアだとしても、僕には勝てない。なぜならば…男と女だからだ!」

ゆっくりと顔を、正面に向け、

「それこそが、摂理!僕の体は、君と結ばれる為にできたのさ」

口許を緩めると、テレポートした。



2人が消えた数分後、九鬼とサーシャが、屋敷の近くまで駆け寄って来た。

2人は互いの顔を見ないが、進むべき道は決まっていた。

「すまないが…ここから、先は立ち入り禁止だ」

突然、学生服を着た刈谷が立ちふさがった。

「あなたは!」

刈谷の姿を目にして、九鬼の足が止まった。

だが、サーシャは止まらない。

刈谷を飛び越えると、屋敷内に忍び込もうとした。

「!」

そんなサーシャは空中で、尋常ではない魔力を感じ、反射的にドラゴンキラーで着地と同時に、斬りかかった。

「…あなたが、サラのお気に入りね」

ドラゴンキラーは、突然姿を見せた女を真っ二つにした。

しかし、手応えがなかった。

サーシャは底知れぬ恐怖を、味わいながらも、間合いを取った。

しかし、後ろには、刈谷がいた。

「まったく〜せっかちね」

サーシャは、笑う女の正体を思い出した。

「リンネか」

「リンネ…」

サーシャの声に、九鬼の目も刈谷の肩越し、リンネをとらえた。

「あたし…有名かも」

リンネは、2人にウィンクした。