「これは…これは…」

5人のアルテミアに囲まれた様子は、圧巻である。

(能力的には、アルテミアと同じ!)

俺は全方向に気を配りながら、確証した。

(レベル的には…今のアルテミアの十分の一くらいだ)

ブルーワールドと違い、大気の汚れたこの世界で、アルテミアは本来の力を発揮できなかった。

そんなアルテミアをコピーしたからか。圧倒的に、本家に比べて弱く感じた。

しかし、それでも…魔力が使えない俺では、まともにやって勝てるとは思えなかった。

「危ない!」

九鬼の叫びに、俺は剣を振るいながら、回転した。

フラッシュモードで接近したアルテミアを、ライトニングソードで牽制した。

間髪を入れずに、ストロングモードのアルテミアが、飛びかかってきた。

「とぉっ!」

それを横から、飛びかかった九鬼が、迎撃した。

「月影キック!」

乙女シルバーの蹴りが、決まったが…すぐに蹴り返されていた。

それを見て、高坂は立ち上がると、さやかの手から乙女ケースを取り戻した。

「もがいてみるよ。何とかな」

「え…」

驚くさやかの横で、高坂は装着した。

「まだまだ!」

サーシャもアルテミアの1人に、襲いかかった。

(空中で、一体は…斬り裂くつもりだったのに)

予定外であった。

2人のアルテミアを相手にしながら、俺は下唇を噛み締めた。

「部長!」

「高坂パンチ!」

渾身の攻撃を、片手で掴まれ、動けなくなった高坂とアルテミアの間に向って、緑は走り出すと木刀を振り下ろした。

アルテミアの手首に決まったが、まったく痛がる様子もなく、ゆっくりとした動きで緑の方を見ると、雷鳴が走った。

「させん!」

高坂は拳を握られながらも、緑の方へ体を滑らせた。

「部長!」

盾となった高坂の全身を、雷鳴が至近距離でスパークした。

「う」

足から崩れ落ちた高坂であったが、アルテミアに拳を持たれている為に、倒れることはなかった。

「部長!」

身代りになってくれた高坂に、叫ぶ緑。

そんな緑に、アルテミアは高坂を投げた。