その時、どこからか無数の包丁が飛んできた。

「ぎゃあ!」

愛ホーンの画面に、突き刺さる数本の包丁。

足に絡みついていた触手が緩んだ為、女子生徒は急いで逃げた。

包丁は、愛ホーンのそばで拝もうとしていた戦闘員にも刺さっていた。

「お前は!」

指の間で、包丁を掴んだ半田は、廊下先からゆっくりと歩いてくる生徒を睨んだ。

「平城山加奈子!」

半田の声に、加奈子はにやりと笑った。

「闇の裏切り者!今は再び、正義を気取る偽善者め!」

半田は、加奈子を指差した。

加奈子は、愛ホーンを踏みつけると、半田を見つめ、

「男に左右されて、行ったり来たりする年増よりはましだと思うけどな」

馬鹿にしたように笑った。

「何!」

「あたしにとって、男はただの欲望の捌け口!それにな。正義を気取っている訳ではない!例え、人が闇と言おうが!今を生きているあたし自身が、正しい!」

加奈子は新しい包丁を作り出すと身を屈め、愛ホーンのボディに何度も、突き刺さした。

「例え!他人が狂っていると言おうが、あたしの人生だ!あたしが間違っていると思わなければ…あたしが常に正しい」

何度も突き刺さしているうちに、愛ホーンはもとの大きさに戻った。

加奈子は包丁が刺さった携帯を見て、にやりと笑った。

「う!」

その姿にひく半田。

「つまり…あたしこそが、正義だ」

加奈子は、携帯が突き刺さっている包丁を半田の足元に投げた。

「く!」

半田は顔をしかめると、

「愛の深さも知らない!小娘が生意気な!」

苦々しく加奈子を睨み付けた。

「婚期が遅れ、やっと掴んだ妥協に溺れ…それもなくなり、とち狂っているだけの女が吠えるな!」

加奈子は乙女ケースを突きだした。

「装着!」

乙女パープルに変身した加奈子は、いきなり仕掛けた。

「乙女包丁!乱れ桜!」

無数の包丁が、半田1人を狙う。

「なめるな」

半田は逃げることはない。

「なめるか!女を!」

2人の女の戦いが、始まった。