「しかし…我らの悲願。それは、このように達成しなければならないのだろうか…」

「…」

しかし、剣じいは答えなかった。

「フッ」

佐助は笑うと、火鉢に目を移した。





「畜生!」

俺は顔をしかめると、自分の部屋に戻った。

いくつかのボタンを押すと、だだっ広い部屋に電気がついた。

「合宿ができるな」

異様に広い部屋には、ベットと洋服ダンスしかない。

だからこそ、その広さが異常に感じられた。

(この部屋に、人間臭さがない)

俺は、6人は寝れるふかふかのベットに飛び込んだ。

床に横になる気には、なれなかった。

ベットに埋もれながら、天井を見つめ、少し休もうとした俺は、殺気を感じて起き上がった。

「な!」

入った時には、誰もいなかったのに、一番奥にある窓の前に、1人の女が立っていた。

俺は、その女に見覚えがあった。

「サーシャさん!?」

俺の声に、サーシャはゆっくりと近づいてくる。

どうやら、窓から入ったみたいであるが、セキュリティが万全である屋敷内に忍び込み、お嬢様の部屋までたどり着くなど、普通の人間には不可能のことであった。

「どうしてここに?」

理由を尋ねた俺に向かって、サーシャは突然走り出した。

「な!」

ドラゴンキラーを装備したサーシャの横凪の斬撃が、ベットの上にいる俺に襲いかかった。

慌てて、前にジャンプした俺は、サーシャの頭上を飛び越えて、真後ろに着地した。

「何の真似で…」

しかし、話す暇もなかった。

サーシャの攻撃は止まることなく、身を捩ると、今度は刃を突きだしてきた。

「ったく!」

額を狙う軌道を読んだ俺は、後ろに下がって避けようとした。

その瞬間、切っ先が伸びた。

(この技は!)

俺は避けるのをやめて、ドラゴンキラーの刀身を掴んだ。

「何の冗談ですか?」

指先でつまんで止めたドラゴンキラーに、肩を入れる寸前だったサーシャは、にやりと笑い、こう言った。

「さすが、アルテミア」

その言葉にしばし凍り付いた後、俺は叫んだ。

「違う!」