「女性に守られる程、落ちぶれてはいない」

高坂は周囲を見回し、

「部室なら、籠城できたが…」

乙女ダイヤモンドを見て顔をしかめた。

「再び体育館裏に戻れないな」


いつのまにか…乙女パープルが、グラウンド内にいた。

さらに、俺達が出てきた通路には、乙女ダイヤモンドが立ち塞がり、左右を乙女ブルー、乙女ピンクが武器を片手に立っていた。

さらに、半月ソルジャーと手長男が合流した。

「お前が、太陽の器か!」

半月ソルジャーの言葉に、目的は自分であることを悟ったが、俺を庇う高坂が邪魔だった。

(ありがたいことなんだけど…)

今の自分で、守りながら戦う自信はなかった。

その時、空からフレアが落ちてきた。

「フレア!」

思わず名前を呼んでしまった。

フレアは、後ろから半月ソルジャーを蹴り飛ばすと、俺と高坂の前に立った。

「フレア!頼んだ!」

俺は高坂を庇いながらも、グラウンド中を見回していた。

戦いの中で、ただ1人…傍観者がいた。

校舎から出てきた女である。

悠然と腕を組み、にやけている姿に、俺は確信した。

この騒動を起こしているのは、あの女だと。

俺は、顔をしかめて踞る半月ソルジャーの横を駆け抜けようとした。

「行かせないよお」

その動きを読んだ手長男が、両手両足で地面を蹴ると、俺の進路を塞ごうとした。

「モード・チェンジ!」

しかし、俺のスピードは一気に音速を越えた。

グラウンドの端から、女の前まで、まるで…ワープしたかのように見えただろう。

「お前は一体!」

一瞬で移動した俺は、腕を組む女の胸ぐらを掴もうとした。

しかし、突然横から現れた人物の蹴りに、音速で走る俺は突き飛ばされた。

(な)

一瞬、言葉が出なかった。

すぐに体勢を立て直したが、俺は絶句した。

女の前に、学生服を着た少年が立っていたからだ。

「邪魔はさせないよ」

その少年は、中島だった。