「僕は…人の為に生きます。弱き人の為に」

僕は振り返り、

「勿論、人は決して弱くなんてないですよ。無限の可能性があり、強くなれる。だけど、1人では強くなれない。親、仲間、友達、師匠…さらに敵達と交わることで、成長し、強くなります」

「赤星くん」

「僕は、そんな人間の道しるべでありたい。この世界でも、あの世界でも」

そう言って、笑顔になる僕に…ジャスティンはまた、頭を下げた。

「ありがとう」






「ふぅ〜。やっぱりいるよな。みんな」

ため息をつくと,綾瀬太陽は額に流れた汗を拳で拭った。

「!」

そして、開八神茉莉の体である手の甲についた汗を見つめた。

(女の人と体を交換するのは、慣れてるとはいえ…。相手の体をそのまま使えるのは、初めてだし…)

そして、太陽は目を細め、

(それに…この体。器としたら、無限の深さがある。いざとなったら、使える!だけど…しかし…)

「お嬢様。どちらにいかれてました?トイレにしては、長過ぎると、純一郎が騒いでおりましたが」

いつのまにか、太陽の後ろに、猫沢がいた。

さらに、目をやらないが…数百メートル先にも、監視の目を感じた。

(完全に巻いたはずだが…。やはり、この距離では数分が限度か)

太陽は心の中で、舌打ちした。

そんな太陽をじっと見つめた後、猫沢は言葉を続けた。

「やつらが、この学園に潜入している。お前は、デコイとはいえ、この体自体をやつらに渡す訳にはいかない。この体は、太陽の器だからな。まあ〜偶然、お前と同じ名前だがな」

(太陽の器?)

太陽は心の中で、眉を寄せた。

「お嬢様!」

遠くの方から、純一郎が泣きながら駆け寄って来るのが見えた。

「私もあまり、お前に構うことができない。勝手な行動はするなよ」

と言うと、猫沢は消えた。




「はぁ〜」

僕は…いや、俺はため息をつくと、前から走ってくる純一郎に目をやった。