「……ねぇ、何か喋ってよ。」
これ以上この沈黙に耐えられないので、あたしが先に沈黙を破った。
「……」
―――えっ!?無視?
せっかくあたしが言葉を発したのに、木村は黙ったまま。
「ちょっと、無視しないでよ!!」
夕方で、交通量の増えた道路はうるさくて、あたしは少し大きめな声で言った。
「……っ、そんな大きい声で言わなくても聞こえてるよ!!」
木村は眉間にシワを寄せてあたしの方を見た。
「じゃあなんで無視するの!?」
「ちょっと考え事してただけだよ。」
「へぇー。木村が考え事なんて珍しい。」
「失敬な。俺だって色々考えることあるし。それにしてもバス遅いな。」
まだバスは来ない。
でも、今はまだ来て欲しくない。
だって、木村がこんなに近くにいるから。


