「桜樹にもされたが……君に教えてやるつもりはない」



「はあ?何でボクには教えてくんないの!」



「髪を染めたら教えてやる」



「やだやだーケチだねー」



はあ〜とため息をつく小金井。



実際は自分でも答えはわかんないんだがな…。



『これから決勝戦を始めます』



放送が体育館に響いた。


小金井はすぐさま走りだした。



「優勝だーーー!」



まだだろ……とつぶやく僕。



コートに近付くと歓声がすごい。



「あのっ会長!」



声のほうを見上げるとさっきまで話題になっていた木本さんだ。



「頑張って下さい!」



「敵チームなんですが?」



「あ…っいや、」



「頑張ります」



にこっと微笑むと顔を赤らめる木本さん。



やっぱり……木本さんは僕のことを?


何だか自分がとても自意識過剰なやつにしか思えないな。



「まじめくん!はやく!」



小金井が腕をひっぱってきた。


木本さんはそれを見て何だか不機嫌そうに眉をひそめた。



前からだが……木本さんは小金井があまり好きじゃないようだ。



「ま、こんな劣等生なんて……」



「なに?」



睨み顔の小金井。



声にだしてしまってたようだ。