暫くそうしていたが、
これ以上ここに居たら
皆に心配と迷惑を掛けてしまう、と
思った愛華は、少し急ぎ足で戻った。



――“美蝶”と言う名は。
一体、どこで名付けられたのか。
…一体、誰が名付けたのか。
その真相は、愛華本人の
心の奥底に眠っていた――。

だが、その眠りも。
もう、覚める。
――愛華の深い傷が、蘇るのだ――。

もしも、急に目覚めたら。

…きっと、愛華は壊れてしまうだろう。