愛華は、静かに目を閉じた。
…目を閉じた途端、あの時の記憶が
鮮明に蘇ってくる。

―数年前―

…あの頃の私達は、
まだ、お互い総長になったばかりで……。
二人共、お互いの不安とかを
話し合ってた。
私の親友――竹垣真紀は、私の家と同じか、
それ以上に大富豪の1人娘で…。
族の総長って言うのは、両親には隠してた。

私とほぼ同じ状況の真紀が居たから、
私は救われた。
…一緒に、分かってくれる人が出来たから。

でも、真紀は違ったかもしれない。
だって、私なんかよりも真紀の方が
ずっと辛い思いをしてきた。
私には兄弟も居て、両親共に私が
不良なのは公認されてるけど、
真紀には兄弟も居ないし、両親共に
真紀が不良だって知ったら
怒って真紀に何をするか分からないから。

…それに、真紀は“水龍”の総長だった。
“水龍”って言ったら、前々から
悪いって事で有名だった。
だけど、真紀が総長になってからは
“水龍”の評判は上がったし、
私達と同盟を組もう、と言う話も出てた。

――なのに。