ハッ…
我に返った愛華は、
口を両手で覆い、震えていた。

…それはまるで、
吐き気に耐えているように。

…いや、恐らく吐き気もするのだろう。
だが、それとは別の意味でも
口を覆っている。

(危うく言ってしまう所だった…)
そんな事を思いながら、
愛華は自分が自分を責める声と
吐き気に耐えていた。

――愛華は、1人で抱え込む。
…例え、それが1人で背負うには
重すぎる事だったとしても。

――あの時、あの事があってから…

愛華は、変わってしまったのだ。