「ちょっと!何やってんのよ、二人とも」


隣の部屋のドアががちゃりと開いて、ひょっこりと顔が覗く。


「美里さあんっ?!」


眉間に深いシワを刻んで、あからさまに嫌な顔をして俺を睨むのは、姉だ。


奴も寝ていたのだろう。
すっぴんにボサボサの髪が物語っている。


二つ年上の姉は、大学に通いながら有名雑誌の専属モデルをしていて。

今では表紙を飾る程、人気があるらしい。


「はぁ〜…蓮、あんた彼女に“帰れ”はないでしょ?」


「は?彼女じゃねぇよ」


「とーにーかーく!あたし寝たいの。静かにしてよね」


それだけ言うと、バタンと音を立ててドアが閉まった。


「美里さんすっぴんでもすごい綺麗…」


「じゃ、俺も寝るから」


そう言って部屋に戻ろうとすると、慌ててなつめが俺の腕を掴んだ。


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