「なにこれ、誰かが仕組んだんじゃないの?」

「目障りー…」

こそこそと聞こえてくるのは、嫌な陰口。
いや、聞こえているから悪口か。
本川はあからさまにさとりに向かって睨んでいた。

「おい、聞こえてるんだけど」


松川が怒る前に、俺が低い声で本川達を制するとぴたりと静かになって。

「…気にするな」


肩を落とすさとりに小さく言った。

席替えをしてからは、自然と四人で会話する機会が増えて。それなりに毎日賑やかに過ごすようになった。

授業中、彼女は一生懸命板書をして、居眠りをすることもない、

やっとやる気になったか。

そう感心していたのも束の間。


小テストの答え合わせで交換しても、相変わらずの0点。

「すごい、結城くん満点だ…」

「さっき習ったばかりだろ」

思いっきり赤ペンでバツをつけて返した。

「ちゃんと聞いてたのになー…」

こいつの集中力は本当に皆無に近い。

さとりと松川は先生の目を盗みながら手紙のやり取りをしているし。


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